踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>
「昴(すばる)です。連れてきました」

 応えると、細長い窓に取り付けられている金属の板が軽い音を立ててスライドし、ギョロついた目が3人を数秒ほど見やると鈍い音を立てて扉が開いた。

 2人は、昴と名乗った少年に促されるまま扉をくぐると、40代ほどだろうか、薄汚れたサンドカラーのパンツに水色のTシャツを着た小太りの男が2人を睨み付けた。

 次に視界を捉えたのは大勢の人間──老若男女(ろうにゃくなんにょ)問わず、壁に寄り添うように毛布を敷いてしゃがみ込んでいる。

 入ってきた見知らぬ2人を、いぶかしげに見つめた。
< 7 / 176 >

この作品をシェア

pagetop