踊れ その果てでⅡ<ケルベロスの牙>

*確たる夢


 その夜──ノートパソコンを見つめている真仁(まひと)に、戒(カイ)がゆっくり近づく。

「早く寝なよ。明日も忙しいよ」

 戒に視線を向けず応えた。

「物資もばかにならんな」

 寝入っているハンターとクローンたちを見回しつぶやいた。

「まあね。牧場にいた頃のスポンサーが何人か物資を流してくれてるけど、受け取るのにひと苦労だよ」

 発して戒に小瓶を手渡す。

「君の分。ウォッカだけど」

「有り難い」

 笑みを浮かべてその透明の小瓶を受け取った。
< 98 / 176 >

この作品をシェア

pagetop