Don't touch me
先客は、先程の少年だった。

お互いに言葉が見つからず、沈黙。





ベッドに腰掛ける。



「…傘、返さなくてよかったんですけど」

「借りた物は返さないと」

「律儀ですね」



そこで会話が途切れ、沈黙。



「…人気者なんですね」

「まあ。何で敬語なの?」

「女性と話す時の癖です。気にしないでください」

「そうスか」

「驚きましたよ」



鼻で笑う。



「キャラ作ってるんで」

「何で、そんな事を?」

「聞かないでくださいよ。関係無いでしょ」



少年はそれきり、話しかけてこなかった。


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