Don't touch me
愛生は後悔した。

声など、かけなければよかった。



この人は、私とは違う性質を持っている。

多分、それは『人間が好き』だとか『愛に生きる人』だとかいうもの。

私が日々、演じ続けている仮面。

それを、自然なものとして、この人は持っている。





吐き気がした。





自分が自己防衛のために演じている性質。

それを自然なものとして持っている人。



傘を差し出す。



「それ、あげる」



そう言って、早足に立ち去る。



頬を雨粒がつたった。


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