幸せの見つけかた
「要するに二股かけて、妊娠した子と結婚して、香織さんを捨てたって事ですよね? …最低なことしてませんか?」



言ってるうちに、ますますムカついてきた。






「あぁ… 最低だな。 香織との付き合いが長くなって、あいつに甘えてたんだと思う。そして本当に彼女を傷つけた。失ってみて、香織がどれだけ大切な存在だったかも、思い知らされたし。 …だから、結婚生活も長く続かなかった。」



視線をコーヒーに落としたまま、上野さんは続ける。




「それから会ってなかったんだけど。この前のリストラ説明会で、偶然会って。びっくりしたよ。まさか、あんな所で再会するとは思わないしさ。」






「それから… また付き合い始めたんですか?」



あれ? 俺、怒り口調になってないか?



そんな気配を感じたのか、上野さんは苦笑した。





「それが…まだ付き合ってないんだ。残念ながら。」



「えっ? じゃあ、あのレストランは…。」




「何回か俺から連絡してたんだけど、香織はずっと無視してた。でも急に、相談があるって電話があって。 で、あのレストランで会ってたわけ。」








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