幸せの見つけかた
「俺には…トマトとキュウリしか見えねーんだけど。」



「それです。」



「は? お祝いが、トマトとキュウリ? それも1つずつ?」



俺と二宮の間には、トマトとキュウリが1つずつ並べられていた。




「お婆さまが、家庭菜園で作られたのです。これで栄養を取るようにと。」



俺はキュウリを手に取り、大きなため息をついた。




「そのため息は、何だ。今年は天候が不安定で、ここまで育てるのにどれだけ苦労したと思ってるのか、とおっしゃってます。」



「あー、わかった。食うよ。ありがたく頂きます。」




生きてる時から野菜を食べろと、うるさかったけど。



天国に行ってまで言われるとはな。








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