幸せの見つけかた
「ちょっ… なに?」



「何じゃねーの。女の人濡らして帰る男なんて、どこにいるんだよ。ほら、行くよ。」



「えっ?」




「送るから。タクシー拾えるところまで、行こ?」



なるべく彼女が濡れないようにグッと抱き寄せて、歩き始めた。





「り… 良平くん、近いよ…。」



「これくらい近づかないと、濡れるじゃん。」



「だから、私はいいって…。」



「あー、うるさい。バアちゃんに言われたの! 女の子には、優しくするんだよって。」








「もう… 女の子じゃないよ。」



彼女がポツリと、呟いた。






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