あやめ【短編】
…7年前。



「るーちゃぁん!るーちゃん!?」


夕方、ペットの猫ルウがいなくなった。


三毛猫で私が産まれる前から飼っている大好きな友達。


ある日急にいなくなったのだ。






「彩芽。もう帰りましょう?ルウはちょっとお散歩してるのよ。」


お母さんは私をなだめると手を引く。


私は首を横に降るとただただ溢れる涙を袖でふいた。



けどお母さんは私を無理矢理家に連れていき、今日は捜すのはやめようと言った。



ずっと一緒だったルウ。


どこかで事故にあってしまったのか、


それとも家出なのか…


私は心配で心配である日学校帰りに捜すことにした。


その日は雲一つない青空…


「彩芽ちゃん!一緒に帰ろ!」


友達が後からついてくるが、私は事情を話す。



「ごめん。だから…今日一緒に帰れないの!」


友達は笑顔で頷くと、手を振って別れた。









家に帰るときのルートから外れ、私は小さな商店街へ行った。


よく捨てられた猫がいる場所で、もしかしたらと…


でも結局どこにもルウの姿は見つからなかった。




「ルウ…」


私は段々泣きたくなって立ち止まると、静かな風と共に声が聞こえた。





「ニャー…」









「…ルウ!?」


微かなルウの声…


その声は暗い路地の向こうから聞こえてきた。



辺りはもう…真っ赤に燃えるような空になっていた。
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