1LDKヤクザ彼氏と秘密の同居生活【完】



「金髪はどうにもならないけど、高級スーツだから様にはなってるよ」



車の中で全身着替えさせられて、ピアスも外された。窮屈なネクタイを緩めると、頭をはたかれた。



「きちんと絞めろ! 早く行け! 修羅場になれ!」


「命令するな!」



ちくしょお。あいつらに見つかる前にさっさとラミカを連れて帰るぞ。



三人でホテルに入り、会場へ向かうともう御開きの挨拶を親父がしているところだった。



「ジジイを見るのは何年ぶり?」


「中学ん時にサツに補導されて迎えに来た時。それ以来だな」



……当たり前だけど、老けたな。


俺は視線を会場に戻してラミカを探した。ほとんどの女は院長夫人だから、若いラミカを見つけるのは簡単だった。


淡い薄地のピンクのドレスを着たラミカの両隣には男達がぴったりとくっついていて、カチンときたけど我慢した。



「ラミカ、来い」


「聡ちゃん! 来てくれたんだ!」



ラミカは笑顔で駆け寄ってくると、ふわふわのシフォンスカートも揺れる。髪をゆるく巻いて、化粧もしてるし、なんか……



「上手に化けたな」


「失礼! 杏さんがせっかく美容院で髪とメイクしてくれたのに!」


「素直にかわいいって言えよ」


「うるせぇ!」



姉貴に茶化されて、話している時だった。




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