【完】無知な彼女の周り

―夏勿side―

生徒会の資料を運ぶってのに量は多いが大して苦じゃない量
あ、遥花ちゃんだ

彼女はホントにつれない
いつも適当な笑顔でごまかして、俺に興味が全く無い。そんな彼女の前だと何故か偉そうになってしまう俺。

有無を言わさずに
手伝わせて、少しでも俺に気が向いてくれたらって思ってしまうのは、俺の格好よさに気付いて欲しいだけのはずだった……

彼女が階段から落ちそうになって、秋一が助けたとき、ホッとした反面、秋一がうらやましかった。

ちょっと冗談半分で

「あれ?どうしたの?
秋一に親切にされて惚れちゃった?」

って聞いてみた
その瞬間後悔した

「…そうですね」

返ってきた返事に
俺は固まってしまった
だって、期待していたもの違うから。
心のどこかで否定を待っていたのに見事に打ち砕かれた。
そのまま去る彼女を引き止めることもできないまま、その場に立ちすくんだ

もし、俺が彼女に手伝わせて無かったら秋一に出会わなかった…?

もし、助けたのが俺だったら俺に惚れてた?

そう考えると
胸の奧が痛んだ

この胸の痛みの訳を知りたくない
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