スキ、やき
『ありがとうございます』
「いいえ。夜、また行くわね~?」
多分、母さんが呼んだんだろう。
晩ご飯でも一緒にどうかって。
ミズのおばさんにお礼を言って、鍵の掛かっていない玄関を開ける。
僕の大学の近くじゃ、鍵を掛けないなんて有り得ない。
まあ、ここは田舎だからいいのか。
『ただいま』
誰も居ないのか?
玄関に一個もない靴を見れば、みんな出掛けているらしい。
バスでほとんど寝てない僕はソファーにそのまま倒れ込んだ。