秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*

――真裕サイド――


結局……その日、あたしのバイオリンは出てこなかった。

あのあと部屋中を探したし、教室も探した。

学校中駆け回ったけどどこにもなかった。

もちろんうちの中も探したけど出てはこなかった。


「うぇーん…なんでぇ?」


ぎゅむ~っと琥珀を抱きしめながら、半泣きで呟いた。

梨音がじゃれているかっくんは、なにやら難しい顔して考え込んでる。


「おかしいな…。なんでだろ。まお絶対あすこに置いたよね、ね?」


「…ああ…」


ん…。上の空だね。

どおしたのかっくんてば。


「今日…ケインのとこどうしようか」


「ああ…」


…聞いてないでしょ。


ああ…でも行けないかも。

だってだって、バイオリンなくしたなんて言えっこない。

あり得ないよー…。


「真裕…」


「えー?」


「……お前さ、本当に心当たりねぇの?」


「…え?」


心……当たり?

なんのこと…?

…あ、バイオリンの行方?


「それはだから全然…」


「そうじゃなくて」


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