秘密のMelo♪y③*ウィーン編㊤*

まったくわけが分からないままに、ガサガサと開けてみた。

出てきたものは…。


「弓…?」


バイオリンの弓だった。

しかもめちゃくちゃいいやつじゃねぇかよ。


添えられたメッセージカードには、真裕の可愛らしさが滲む字で、文面で、こう書かれていた。



『お誕生日おめでとう

 直接渡したかったぁ

 来年は会えたらいいな

 かっくん大好き!』



あいつ……覚えてたのか。

日本を発つ前日、真裕は思い出したように「そういえばかっくんってお誕生日いつ?」と聞いてきた。

気まぐれで聞いてそのまま忘れるようなことかと思っていたのに、ちゃんと覚えてたんだな。


つーか…。


「らしすぎる」


バイオリンの弓て。

品選びある意味上手いなあいつ…。


バイオリンは、どちらかというと弓が重要。

本体より、弓や松脂をいいものを選ぶやつが多い。


これは……うちみたいな一般家庭に手が出せるような代物じゃない。

欲を言えば確かにいい弓は欲しかった。

下手に手の込んだものよりよっぽど嬉しい。


「あら? それバイオリンの弓? お父様くださったの?」


「いや…これは……」


……そういやなんで真裕からのものが親父さんから来る?


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