先生~あなたに届くまで~


いつものように息がしにくいような
重い空気が流れていた。

私は耐えられなくて
鞄を持つ手に力を込めた。

しーんと静まり返る部屋。
私の呼吸も落ち着いて心臓の音だけが響く。


「浅川。」

口を開いたの先生の方。

「...は..い。」

返事をしようとしたけど
涙と力の入った身体のせいで
声はかすれて音にならない。

「浅川。
俺はこういう大人だよ。
俺は変わらない。

だからお前もいい奴見つけろ。
渡辺は教師の俺から見てもいい奴だ。

お前はああいう奴といたほうが
幸せになれるよ。」

先生は優しく穏やかに
そして念をおすように...

きつい言葉を浴びせた。


“ただ好きでいる事も迷惑なんだ。”
“変わろうとは思ってくれないんだ。”

先生の言葉がぐるぐる廻る頭が
先生の言葉でずきずき痛む心が

悲しい現実をきちんと教えてくれる。



先生として好きでいればいい。
そしたらいつもの優しい笑顔が見られる。
大事にしたいあったかい言葉をくれる。

先生として好きでいればいいだけ。


これ以上はもう...。
好きになっちゃいけない...。

これ以上...突き放されるのは...

耐えられない...。


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