先生~あなたに届くまで~

「可哀想だったからですか?」

やっと出た言葉は力をなくしていた。

また返事はない。
先生を真っ直ぐ見て、もう1度尋ねる。

「可哀想になって抱きしめたんですか?」



「...あぁ。」

先生は顔を上げ私の目を見て頷いた。



“最低だ。”



頭ではそう思っているのに
心は先生の温もりを追いかける。


「好きに...なる..なって先生が...
言った...んでしょ。」

涙はボロボロ溢れる。

「....ああ。」

先生は目を逸らさず返事をする。


「じゃあ...
どう..して..抱きしめたり...するの。
抱きしめ..ら.れて..
どうやっ...て嫌いになれば..いいの?」

先生を好きだとわかっているくせに。

無理やりにでも良い生徒になろうと
しているのもわかっているくせに。

どうして...
どうして...。

“期待してはいけない。”
“何の意味もないんだ。”

そう何度も自分に言い聞かせる。

だけど心はもう
抱きしめられる切なさも温かさも
知ってしまったから...。

忘れられない。
どこか期待してしまう。

“悪かった”ともう1度抱きしめて
気持ちを受け入れてくれたらいいのに...。
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