先生~あなたに届くまで~
「ずっと渡辺君を見て来たの。
だから渡辺君が雪音を見てることも
ちゃんと知ってたわ。
正直最初に健君が渡辺君を
紹介したいって言った時
とうとうこの日が...って思ったの。」
「早絵...」
春菜が申し訳なさそうに声を出した。
「最初は渡辺君がちゃんと想いを伝えられるなら
それでいいと思った。
だから雪音にも話す機会を作るように勧めた。
だけど雪音を送って行く渡辺君の後ろ姿を見て
胸が苦しくて...。
純粋に応援できない自分がいることを知った。
だから次の日雪音から
話しを聞こうとする春菜を止めたの。
きちんと聞く勇気がなかった。
好きな人の幸せも願えないなんて最低よね。」
自嘲気味に笑う早絵を見て言葉が出ない。
ただ...ごめんと...ごめんなさいと...
心で繰り返す。
私は最低だ。
早絵がそんなにも想っている相手に
ただ逃げていた。
向き合おうともせずただ...。
優しさに甘えてた。
最低な上に友達失格だ。
何も気づいてあげられなかった。
最低...。