先生~あなたに届くまで~

「優輝。」

2人と話した後
その足で隣のクラスに来ていた。

優輝は少し驚いた顔をした後
いつもの笑顔で扉の方へ歩いてくる。

「雪音?どうした?」

優しい口調の優輝の声を聞くと
早絵の顔が浮かんで
胸が苦しかった...。

だけど尚更真剣に向き合おうと思えた。

「あのね...。あの...。」

いざ言おうと思うと言葉が出てこない。

「ん?ゆっくりでいいよ。」
優しく笑ったまま待っていてくれる。

「あのね。
今日部活終わるの待ってていい?

一緒に帰りたいんだけど...駄目かな?」

自分から提案するのが
こんなに恥ずかしいとは思わなかった。

顔がちゃんと見れないし
火が出そうなくらい顔が熱い。

「駄目なはずないでしょ。
待っててくれるの?」

頭の上から
暖かい言葉が降ってくるから
少し安心した。

「うん。
一緒に帰ろう?」

私が頭をあげて優輝を見ると

「喜んで。」と言って
優輝も笑った。


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先生?
人と向き合うって凄く難しいね。

あの頃の私は自分の想いばっかりで
いろんな人を傷つけてしまってた。

誰も傷つけずに
一人の人だけ愛せたらいいのにね。

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