先生~あなたに届くまで~

近づく距離


「浅川!!
 悪い!!待たせたな!!」

先生は笑顔で車の方へ走ってくる。

「いいえ、大丈夫です。」

自分でも驚くほど平常心でいられた。

「よし!!じゃあ帰りますか!!」

「よろしくお願いします。」


先生の車の中はシンプルで
飾りなどは何もなかった。

“チャラくない”

それが凄く心地よくて
リラックス出来た。


「今、車はチャラくないって
 思っただろう。」

先生はふざけた口調で
そう言った。

「えっ!?
 何でわかったんですか!?」

私また心の声が口から出たのか?
と思いながら驚いた顔で
先生の方を向く。

「だから!!否定しろよ!!
 だいたいな俺はチャラくないだろう!!
 初めてだよ。生徒にチャライとか
 言われたの。」

「すみません。」

「謝るな!!
 がっつり肯定されてるみたいで
 余計落ち込むわ!!」

「すみません。」

そう言った後沈黙が流れた。

その沈黙に耐えきれなくて

どちらともなく笑いだした。


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