先生~あなたに届くまで~

車に乗ると浅川は
表情をコロコロ変えた。

焦る姿はからかい甲斐がある。

すると浅川は予想だにしない
言葉を俺にくれた。
“尊敬している”とそう言うのだ。

正直、浅川には好かれていないと
本気で思っていた。


教師として
こんなに嬉しい事はない。


彼女の言葉や姿は真っ直ぐで胸に刺さる。

だから俺もいつも以上に
真剣に向き合わなければと思えた。


俺は二度目のお礼を言った。


彼女は恥ずかしそうに下を向く。
きちんと思いは伝わったのだろうと
安心した。

そして俺は
ずっと伝えたかった事を口にする。



「浅川...我慢するなよ。」



たったそれだけだけど
浅川にはきちんと伝わったと思えた。




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雪音?

あの頃はただ教師として
お前から目が離せないと思ってたんだ。

浅川を救おうとしてたけど
本当に救われたのは
今もあの頃も俺だったなんて

情けないな...。

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