先生~あなたに届くまで~


“教室に戻らなきゃ”


ぼーっとする頭を必死に働かせる。

しっかりしないと。
2人が心配する。
心配はかけられない。


手洗い場で顔を洗う。

水が冷たくて
哀れな自分から
目を覚まさせてくれる様な気がした。


「よし。戻ろう。」


もう泣かない。
泣けない。

悪いは誰でもない...。

私だ...。


もう先生を目で追うのもやめよう。


何回、目が合ったか
数えるのもやめよう。


何回、話しかけてくれたか
数えるのもやめよう。


胸が鳴るのも聞かないようにしよう。


目を覚ます時、眠りにつく時

先生がくれた言葉を思い返すのはやめよう。


もう全てなかったことに...。

先生への気持ちはなかったことに...。




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先生?

いつも生徒思いな先生が好きでした。

そして。

そんな先生が嫌いでした。

その想いはあの頃よりずっと...。
ずっと....。

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