先生~あなたに届くまで~
「あっ‼それから‼」
先生はスーツのポケットに手を入れて
何か探している。
「あった‼あった‼
ほら‼赤ペン‼」
先生があの日の私を思い出せない位
明るい笑顔で手渡すから
本当に調子が狂う。
「先生今更ですか?」
私が可笑しそうに言うと
「悪い‼悪い‼」と先生は苦笑いした。
ポケットから出てきた赤ペンを眺める。
ずっと入れていてくれたのだろうか。
少しは気にかけてくれていたのかな。
なんて思うと心は温かくなった。
「先生?」
私が呼ぶと
「ん?」と先生が私をもう一度見た。
「お願いがあるって言ったら
聞いてくれますか?」
先生は少し戸惑っている様子。
「んぅお願いにもよるけどな。
お願いって何?」
私はうるさくなる心臓を落ち着かせようと
ふーっと息を吐く。
「もし私が9教科で890点以上取れたら
3つ願いを叶えて欲しいんです。」
「890点以上!?そりゃ凄い点だな。
けど浅川なら取りかねないな。」
先生はおかしそうに笑った。
「で、3つの願いはもう決まってるの?」
と先生が聞く。