スマイリー
“…上がんねぇ”


学校からの帰り道。はぁ、とため息をつく。


何日も続いた雨がやんで、美しい夕焼けが街を優しく包んでいる。


進は偏差値を気にしていた。先月受けた模試の結果がやっと返ってきたのだ。


全国の平均点を「50」とした、進の相対的な得点である、偏差値。


どの教科も軒並み55前後―。進の通う高校にしては決して悪くない数字である。

業後、模試の結果のプリント返却の時であった。進の志望校に目を通すと、担任の岡田に話しかけられた。

「前島は西京に行きたいんだったな」

「…はい。それか心学社」

「…どっちもこのままじゃ苦しいぞ」

「…はい」


そんなこと分かっている、と言いたかった。


第1志望の高校に落ちてここへ入学してから2年半。不合格のショックから最初は辛い毎日だったが、入学して2週間と経たないうちに心を許せる友達もできた。


たびたび馬鹿をやっては担任に怒られ、程よく遊びながらも、進は腐ることなく、コツコツと地道な勉強を重ねていた。


その成果は徐々に現れ、2年生の半ばごろになると、進の実力は国公立大も夢ではないと担任に言わせるまでになっていた。
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