デイズ~Dear my mind~
夜遅くになって、うちらのマンションについた。
おじさんはマンションの裏側に車をとめて、
「着いたよ」
と言った。
まだまだ動物園の余興から覚められなくて。
「帰りたくない~」
とうちは言っていた。
今そのことを考えてみると吐き気がする。
バカいってんじゃねえよ、って殴り飛ばしたい。
おじさんの車の窓から見えた夜空には星が瞬いていて。
ひどくきれいだった気がする。
・・・結局、しばらくしてからちゃんと家に帰った。
この日が、このおじさんと会った最後の日になった。
名前を聞くことなく、さようならをした。
未だに、おじさんの名前は知らない。
「ただいま~」
「彩、楽しかった?」
父さんにそう聞かれて、
「うん、楽しかったあ」
そう答えたあの頃のうちは。
「よかったね」
果たしてどれだけ父さんを傷つけていたのだろう。