オレンジ*ロード




俺の日常は彼女と出会って少しだけ変わった


1時間以上かかる学校までの道のりも苦じゃなくなったし、つまらない授業中も寝なくなった


授業中、俺は黒板ではなく彼女ばかり見ていた


窓際に座る彼女もまた、目線は黒板ではない


彼女が見ているのはいつだって窓の外


午前中から午後にかけて色が変わりゆく空


次々と流れていく白い雲に、田んぼの稲穂を揺らす強い風


彼女はいつだってこの田舎町の風景を見ているのが楽しそうだった



それから暫くが経ち、気付けば俺は毎日彼女の事を目で追うようになってた


今まで恋愛なんて無縁だと思っていたのに、これが恋なんだと知った



『ねぇ、幸汰君アイス食べようよ』


今日も俺と彼女は帰り道に鉢合わせをし、途中まで自転車を並べて走っていた


ふっと彼女がブレーキをかけた場所は小さな駄菓子屋の前


田んぼしかない道端にポツリと建ってるおんぼろな駄菓子屋


昔ながらのこの店の前にはアイスが入ってるガラスケースがあり、その奥には駄菓子が沢山並んでいた


実はこの駄菓子屋に俺は頻繁(ひんぱん)に寄っている


寄る度にアイスを買い、片手で食べながら帰るのが俺のスタイル




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