smooch【BL/完結】

予想外に一緒に入浴となった訳だが。

彼は俺の背中を流すと言ったが、
それよりも彼を温まらせるのが先なので
俺が彼の頭を洗ってやった。

体は、自分でやる!と言ったので、
背中を流すまでにとどまった。

その後湯船につけようとしたが、
どうしてもというので、
背中だけを先に洗って貰った。


「……で、本当に最近どうしたの?」

頭を洗いつつ、再度尋ねてみた。
泡が首や背中につくから、
やっぱり順番が間違ってると思う。



「だってさ、勤労感謝の日じゃん?」


……は?



思わず聞き返しそうになった。
だってそれ、秋じゃないか。
季節さえあっていない。

本当に彼は、時々変な事を言う。
というか、変な所でバカなのか。


真面目な顔で、
俺に感謝の意を表したかったと
ちょっと照れくさそうに言う彼が
とても愛おしく見えたので、もう少しだけ
この間違いを正すのは待とうと思った。
せめて、風呂から上がるまでは。

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