smooch【BL/完結】
10.なんでもない日
彼を膝の上――いつもとは逆に
向かい合うように座らせている。
どうしていいのか分からないのか、
視線をあちこちに彷徨わせている。
俺を見てればいいのに。
それでも、手で顔を誘導すると、
まごつきながらも、
一応はこちらへ焦点を合わせてきた。
いい子だ。と、あてたままの手で
頭とついでに耳を撫でると
流石にこれは子ども扱いとは取られなかった。
合ったばかりの目を伏せ、俯く。
これはこれでいい物だと、
目蓋の上に軽く唇を寄せると
ギュッと、閉じられた。