真輔の風
とにかく友達と話したところを見ていない。
ましてや笑った事など一度も無い。
風が吹いても笑いたくなる青少年と言う時期なのに、
若いエネルギーが全く感じられない。
クラブ活動はまったく興味なし、
体育の授業もほとんど見学だ。
それでもおとなしいだけに先生たちの心証は良かった。
成績も…
勉強しているようには見えないが良く出来た。
ただ、留年して二年生になっている宮村龍雄と
親しげに話をすることだけが気になっている。
今のところ何もトラブルは聞かないから黙認だ。
それから一週間後。
一学期の期末試験も終り、
夏休みを待つばかりという日曜日…
「真輔、夏休みは東京へ行くか。」
昼食を食べながら祖父が真輔に話しかけている。
「行きたくないよ。」
「だけどお父さん、たまには東京の暮らしをさせたいみたいだったわよ。」
祖母まで話に入ってきた。
「東京は人が多すぎて嫌いだ。
じいちゃんたち、よくあんなところで長いこと暮らしていたなあ。
東京が懐かしい。」
「いや、わしはここが好きだが…
わしやばあさんはここを遂の住処と思っているが、
お前はこれからの人間だ。
都会の風を感じておくことは悪いことではないぞ。」
「たまには行くよ。」