真輔の風
「真輔君、そんな事を言うものではないわよ。
私たちは心配しているだけなの。
おばあちゃんたちが知ったら悲しむわよ。」
茜が、まるで真輔の姉のような口調で祖母を出してきた。
冗談ではない、何だ、こいつらは。
真輔にはまるっきり理解出来ない。
今までは無関心の関係だったのに、
いきなり級友だと言って家族面をしている。
吉沢百合子…
昨日ちょっと話しただけではないか。
大体、人の噂に大騒ぎするこいつらの心理のほうがおかしい。
真輔は黙って、あっちへ行け、とばかりに
取り巻いている級友を睨んで…
後は無視を決め込んだ。
そこへ先生が入ってきて、
龍雄も顔を出し…
皆席に戻って一時間目が始まった。
それからすぐに真輔は、気分が悪い、と席を立ち、
保健室へ行ったきりその日は姿を見せなかった。
睡眠不足のとき真輔がよくする行動パターンなのだが、
誰もそんなこととは知らない。
担任を初め教員達は、
中学からの申し送りや祖父母の話を考慮して、
体が弱かったから自分でコントロールしているのだろう、
と思っていた。
確かに他の生徒達と比べると身長だけはあるが、
痩せていて顔色も白すぎる。
石膏細工のように整った顔立ちが余計にもろさを感じさせる。