真輔の風

真輔も体験は無いが、

それでも信一の言わんとする意味はわかった。

こいつは高一の夏、騒音を立てて住民に迷惑をかけても、

ただ遊びたかっただけだ。

龍雄は… 龍雄は女を抱いたのか。

百合子を… 
龍雄ならセックス経験もありそうだが… 




「そうか、龍雄は吉沢百合子が男たちにいたぶられているのを見て… 

だけど、何故彼女はそんな男たちに。」


「分からないけど… 三日前の事件、知らないか。飛び降りた… 」


「須磨の高校生のことか。」



今、祖父の口から聞いたところだ。



「ああ、想像だけど… 
そいつ、危ないことをしていたのではないか。 
それで、人生を悲観して… 」


「人生を悲観して。」




信一にはまともに話しているが、
はっきり言って、その話は、

祖父から聞いて知ったところの真輔。

どうもスムーズには理解出来ないところもあった。




「真輔、入るぞ。」



廊下に栄作がお茶とお菓子の乗った盆を持って立っていた。

が、どうやらいくらかは話を聞いていたようだ。

そして二人の顔を見回して、真輔を真面目な顔をして見た。


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