桜の木の下で。
そして、その日の夜。
「・・・はぁ~・・・」
先生の部屋に行こうと部屋を出た。
その時だった。
「せ~んせ♪有子と付き合って!」
「・・・!?」
私は足が止まった。
「お前なぁ~・・・。冗談も休み休み言え!」
「・・・」
「・・・それに、俺には婚約者がいるから」
「え!?」
「ほら、部屋に戻れ!」
その言葉に私は慌てて隠れた。
すると、有子は部屋に戻って行った。
「・・・いつから立ち聞きしていた」
大野先生は私に気づいていたらしい。
「・・・えっと・・・。先生に婚約者がいるって言う所あたりからです・・・」
私は通路に出た。
「そうか・・・」
「それよりも・・・先生って、婚約者いたんですか?」
「・・・いない。つうか、居る訳ねぇだろ?」
「・・・なぁ~んだ・・・」
「お前、喜んでるんじゃねぇかよ!」
「ち、違うって!!」
大野先生は私の頭をポンポンと叩いた。
「じゃぁ、お休み」
「・・・はい」
大野先生は部屋に向かって歩いた。
「先生っ!」
「ん?」
「・・・先生って・・・今日、誕生日なんでしょ?」
「ああ。そうだけど?」
「・・・」
「東雲?」
「・・・誕生日・・・おめでとうございます・・・先生」
「・・・ああ・・・」
先生の顔を見る事は出来なかった。
何故ならば・・・--。
「・・・東雲?泣いてるのか?」
大野先生は私の肩を掴み--。
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