僕の愛した生徒


僕の腕にしがみつく奈菜。

そこから少し速い奈菜の鼓動が伝わってくる。


僕は奈菜の頭をそっと撫でた。


「秀?」


しばらくして
静かに響いた奈菜の小さな声。


「どうした?
やっぱり眠れない?」


奈菜は僕の方に顔を向けた。



「ねぇ、秀に……
秀に…私の……

私の全部をあげる」



僕は奈菜を撫でていた手を止めた。



「奈菜?
それは意味を分かって言っているのか?」

「分かってる。
全部わかって言ってる。

秀が好きだから…だから……」


そう言った奈菜の声は震えていた。



「…………」



この一線を越えてしまえば、きっと僕たちは引き返せなくなる。


それでも……

奈菜となら……



奈菜とだから……




「奈菜、愛してる」



僕は微かに灯る明かりを消した。
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