これからも君だけ



練習を始めて多分30分くらいした頃





「あれ?陸ちゃん?」




聞こえるはずのない突然の声にビクリと肩を揺らし入り口へと体制を向ける。





「あっ朝陽先輩」




そこにいたのはまさかの朝陽先輩





朝陽先輩がいるなんて思っていなかったから、ビックリしすぎて私のバランスの悪い身体がぐらりと大きく動く。




「うわぁっ」




「陸ちゃん!!」





また尻餅をつく!と目をつぶったはずなのに、身体は痛いどころかふわりと優しく温かいモノに包まれているようで





そっと目を開けてそのまま大きく見開いた。





目の前には私を抱き止めてくれている朝陽先輩。





それに気が付いた瞬間全身がガチガチに硬直した。





「すみません!朝陽先輩!!」




「大丈夫?怪我してない?俺がいきなり声かけたから驚かせちゃったね」





綺麗な目を細めてニッコリと笑うその爽やかさは、まるで朝の日差しのようで…さすが朝陽って名前だななんて思ってしまう。





長いまつ毛にキメ細かいお肌。
だけど男らしい表情の朝陽先輩はやっぱり王子様で




私の心臓がドドドドッと異様な音を立てて動き出す。






ど、どうしよう私!朝陽先輩とこんなに近いなんて!!!




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