甘い恋には遠すぎて


『私、私……一臣さんが……!!!』


好き−−


と言いかけた時、一臣さんに口を手で塞がれた。


そして耳元で


『その先は今は言うな。お前には、俺なんかよりもっといいヤツいるよ。俺には勿体ない。』


そう言って伝票をさっと掴み、レジの方へ歩いていってしまった。



言えなかった……言うことさえ許して貰えなかった……。


一臣さんの後を追いかけることもできず、ただただその場に立ちすくんでいた。


両目から涙が溢れ出し、頬を伝う。




−やっぱりダメだった……−




でもこの気持ちの行き場はどうすればいいの?


告白すら……



『うぅっっ……』



嗚咽がもれそうになり、慌てて口を塞ぐ。



胸が苦しくて、苦しくて、どうしようもない。




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