甘い恋には遠すぎて
『そうだといいんだけどな。少しだけ大人になったつ〜かさ。歳だけ大人でもまだまだ子供だよな俺たち。』
『うん。いくつになってもそう思い続けるんじゃないかな。あっ……ちょっとごめんなさい!!』
そう言いながら、柱の反対側に迫ってくるみや美ちゃん。
バ、バ、ばれた?!
ドキドキしながら俺は背筋が縮む思いで、息を押し殺す。
『あっ、もしもし……うん。うん。今、忙しいから……』
なんだ電話か……。
コツコツとまた一臣の元へ戻る足音。
ホッ……よかった。
『男か?』『彼氏。』
一臣とみや美ちゃんの声がほぼ同時に響いた。
え〜っっ!彼氏?知らねぇぞ、聞いてないぞ?!
『……言うようになったなぁ、みや美。』
『フフフ、まぁね。』
こちらからだと二人の表情は見てとれないのが悔しい。
『……そんじゃあ、俺の出番はないかな……。』
小声だけど、ハッキリ聞こえた一臣の声。
よしっ!そのまま言ってしまえ!!