レンアイ 遊興




教室に向かう途中、下を向いて歩いていたら


「きゃっ」

「いたっ」


誰かに肩がぶつかってしまった。


「す、すいません!」


と、慌てて顔を上げると一瞬にして私は表情を失った。


…なんて神様は意地悪なんだろう。


「谷崎さんじゃない」


一番今会いたくない人に会わしてくれなくていいのに。


「…えっと」


「私、香西知美っていうの。空と同じ二年生」


言葉に詰まると、微笑みながらそう言う知美先輩。


空先輩と仲よさげなのが、呼び捨てすることでわかり、胸が痛む。


空先輩ってほとんどみんなからくん付けだし…。


「そう…なんですか」


…彼女だから当たり前か。




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