レンアイ 遊興




「………て」


「ん?」


「…手、触んないでよぉ」


マイクをぎゅっと両手で掴みながら、少しだけ上向きな角度でジッとその男子を見た。


目には耐えてた涙がにじみ出てて。


間近で見たその男子は少し驚いた顔をした。


「…ぷっ」


それから小さく笑ったかと思うと、マイクを持っている私の手を指さしてこう言った。


「手、震えてるけど」


うっ、と言葉をつまらしてしまった瞬間、

体に少しだけ重みがかかった。


「きゃっ!?」


トスンと軽く弾んだ背中。


私の上に馬乗りになる男子をただ見ることしか出来なくて。



「つまりこうしてほしかったんだろ?」




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