エリートな彼に甘く奪われました
課を出てため息を吐きながらゆっくり歩く。

そのままフロア中央の休憩室の椅子に腰掛けぼんやりと回りを見回した。

すると。

休憩室前のエレベーターからチャイムが鳴りさっと開いたドアから数名の男性社員がどやどやと降りて来た。

あ…。

四人ほど降りた後に後方から彼の姿が見えた。

彼が手にしている書類を隣の男性と覗き込んで歩きながら何かを話している。

少しずつ足音が近付いてくる。私は思わず椅子から立ち上がっていた。

ふと顔を上げた彼と目が合った。

「あ…」

彼の足が私の側で止まった。

「浅香…さん」

「………」

一瞬時が止まった様にお互いの目を見る。

彼の手も書類を持ち上げたままだ。


「おーい、浅香。何してる」

少し先まで歩いて行った彼の隣にいた男性が彼に声をかけた。

「あ、は、はい。すみません、先に行っててもらえますか」





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