エリートな彼に甘く奪われました
恍惚と溶ける様な甘く激しいキス。

これが、欲しかった…。

ゆっくり唇を離すと彼は、

「ごめんね?取り敢えず充電」

と言って目を細めた。

「適当に座って」

上着を脱いで、ネクタイを緩めながら彼はキッチンに向かった。

私は自分の部屋より片付いた彼のシンプルな部屋を見回しながら、フカフカのラグの上に座った。

コーヒーの豆を挽く音がして暫くしてからいい薫りと共に彼がこちらにやって来た。

「はい、どうぞ」

金色に縁取られた綺麗なマグカップにふわふわと湯気が上っている。

「ありがとう、いい香り。いただきます」

私がコーヒーを飲んでいる姿を彼はニコニコと眺めていた。

や、もう。
そんな近くで見つめないでよ。
顔が火照ってくるのが分かる。

私はそっと視線を外に向けた。

「見ていちゃ、ダメ?
可愛いからさ…、ずっと見ていたい」

私は思わずゴホゴホッと噎せてしまった。

「や、やだ、何言いだすの」

「俺さ、自分でもどうして、ってほど愛が好きで苦しいんだ…」

彼はテーブルに肘を付いて顎を支えながら甘い視線で私を捕えている。

「遼…」

私はマグカップをそっとテーブルに置くと彼に顔を近付けて自分から唇を重ねた。

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