エリートな彼に甘く奪われました
「そうか…。うまくやってるんだね。俺も応援してるよ」

俺が彼女の顔の高さに体を屈め、目線を合わせて言うと森山の頬がぶわっと赤くなった。

「……？」

彼女はパッと目を逸らせて黙っている。

そこへコツコツとこちらへ向かって来る足音が聞こえた。

「浅香さん！…もう、麻耶ちゃんを誘惑しないで下さい」

西山がエレベーター前の死角から飛び出して来た。どうやら様子を窺っていたみたいだ。

しかし…誘惑？してないんだけど…。

「あんまり顔を近付けないで下さい、浅香さんはそのつもりじゃなくても、ダメですよ、そういうのは」

…ダメ？
また俺は何故か彼に怒られていた。

「…あ、ああ、悪い」

俺が彼女から顔を離すと西山は森山の手を取りグイッと自分に引き寄せた。

「に、西山くん…、私は別に…」

「だめだよ、麻耶ちゃん。浅香さんの目を直視しちゃ。また持っていかれちゃうよ」

「……」

…おい、俺はメデューサかよ…。

「じゃ、失礼します」

二人の背中を見ながら微笑ましく思い思わず笑みがこぼれる。

あとは…俺達だな。

俺はエレベーターに乗り込んで愛の顔を思い浮かべていた。






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