エリートな彼に甘く奪われました
タクシーで彼女のマンションまで移動し、インターホンを押すまでに十分とかからなかった。

しかし何度押しても彼女の応答がない。

出掛けたのか?

でも体調が悪いのなら寝ているのかも知れない。

スーツのポケットから携帯を取り出した瞬間、カチャリと静かにドアが開いた。

僅かな隙間から小さな声で「どなたですか」と聞こえた。

「愛?大丈夫?」

俺の問いかけにドアが大きく開き、愛が驚いた顔を見せた。

「え…遼…?」

彼女の唇がカタカタと震えている。

「ただいま」

俺が笑って見せると彼女の目が途端にうるうると滲み出す。

「遼っ!」

愛が突然、俺の胸に飛び込んで来た。






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