エリートな彼に甘く奪われました
まだなお状況が掴めず固まる俺に隣にいた釜田が耳打ちをした。

「森山が振ったとかいう彼女の同期だよ。営業の西山とかいったっけな。」

ああ、何かそんな話を聞いたな。

しかし何で俺、こいつに怒られてるんだろう。

ポカンとしていると、瞳に涙をうるうると溜めながら森山が、

「西山くん、やめてよ!浅香さんは悪くないの、浅香さんは……」

と言うと、顔を伏せてわっと泣き出した。

森山の泣き声だけが店の中に響く。

そんな中、幹事の先輩が言った。

「はい、はい、ショータイムはここまで~。みんな、飲み直しだ、はい、飲んで飲んで~」

手をパンパン叩くと周りの人の背を押して席に戻る様促した。

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