エリートな彼に甘く奪われました
「七瀬さん!!待って!」

必死で呼び掛けると彼女は余計にスピードを上げる。

バシャバシャバシャ。
バシャバシャバシャ。

「七瀬さん!」

くそっ、はえぇな…!

そろそろ本気で全力疾走かな、と思い出した頃、彼女が速度を落とした。

少しずつ距離が近くなる。

やがて彼女の背中が目の前に来たときには二人の足は完全に止まっていた。

彼女は俺に背を向けたままハァハァと肩で息をしている。

俺もそんな彼女を後ろから見ながら呼吸を整えていた。


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