エリートな彼に甘く奪われました
「わ、私の事なんて…どうか気にしないで下さい。浅香さんは、戻って下さい。」

否定的な言葉で俺を拒絶する。

「あ…浅香さんに、ご心配いただく事なんて何もありませんから。…す、すみませんでした」

くるりとまた前を向き歩き去ろうとした彼女の手首を思わず掴んだ。

「待って」

すると彼女は顔だけをこちらに向けて、

「離して下さい、お願い、一人にして…」

と、か細い声で言った。

「いや、俺は、その……、放っておけないよ、君を今、一人には出来ない」

「離して!一人にして下さい!」

「好きなんだ!」

彼女が言い終わらないうちに思わず俺は叫んでいた。

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