Sky heart



「中庭に行ってみましょうか」



女の看護師は、あたしの車椅子をゆっくりとしたペースで押しながらエレベーターに向かう。




あたしは何も答えない。
口を開くことすれも面倒だと思うようになってしまった。




どうでもいい。
どこでもいい。
早く退院したい。



こんな場所にいたくない。




「大丈夫ですか?」


何も言わないあたしを心配したのか、不安そうな顔で覗き込んでくる看護師。




胡散臭い、その顔。
いかにも〝仕事中です〟みたいな顔に見えて、イラっとした。



あたしはあからさまに顔を背けた。




なんて可愛くない子。
そう思っているに違いない。




どうせあたしは可愛くない子。
誰にも好かれない、悲しい人間だ。





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