Sky heart




「どうしたのー?大丈夫?」


看護師は車椅子から手を離し、女の子の前に屈む。



よしよし。
女の子の頭を撫でながら、看護師は女の子を泣き止ませようと必死。



あたしはツーンとそっぽを向く。



看護師は何かを言いたそうな顔であたしを見た。
いや、睨んだと言った方が正しいかもしれない。



「………」



看護師の背中をじっと睨む。
こいつは…〝あっち側の人間〟だ。




あたしは1人でエレベーターへと向かうことにした。


こんな看護師ならいない方が断然マシ。




予想以上に腕力が必要とされる車椅子に、あたしは悪戦苦闘。



休み休み、休憩しながら必死でエレベーターへと向かった。




結局のところ。
あの看護師が追いかけて来ることはなかった。






< 33 / 50 >

この作品をシェア

pagetop