Sky heart



イライラと。
溜まる感情は黒い感情。




溜まって。
固まって。
渦巻いて。




「だぁーれぇー?」



不意に、覗き込まれた。
かなり近いあたしの顔と女の子の顔。



ピキリと。
コメカミが疼く。



女の子と目が合った瞬間、あたしは反射的にジロっと睨んでいた。
多分、睨むなんて言葉じゃ言い表せないくらいの睨みっぷりだったんだと思う。



女の子は大声を上げて泣いてしまった。



やばい、なんて思わなかった。
いつもなら思うけれど、今日はそう思わなかった。



きっとそれは、今のあたしに〝人間の感情〟なんてないからだと思う。



うわーんうわーん。
幼児の独特な泣き方。



あたしの怒りはつのっていくばかり。
イライラと、ゆっくり込み上げてくる謎の感情に犯されてしまわぬように、あたしは必死で手のひらに爪を食い込ませて我慢した。




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