Sky heart
「早くしろっ!! また風吹いたらどうすんだよっ?!」
彼の必死な声。
あたしの耳に、しっかりと届いた。
ほんの僅かな可能性。
ここで曲がってしまっても、また戻せるはず。
今だけ。
今だけ彼の言うことを聞けばいい。
そうすれば、彼はあたしに背中を向けて進んで行く。
そうでしょう?
人間なんて、そんなものでしょう?
悔しいけれど、彼の言葉はあたしの心を震わせた。
最悪。
少し戸惑って。
あたしは彼の胸に飛び込んだ。
飛び込んでしまった、と言うべきだろう。