プラトニック・ラブ
あたしの前には三山。
これからだと言うのに、あたし達は匂いだけですっかりヤツレ気味になっていた。
「よし! 食べ始めよう!」
「そーしよっ」
美沙と三山を―――…いや、ここにいる全員を異次元から来た宇宙人としか思えない。
空嘔吐をして視線を落とす。
あたしはこんなにも甘いものが嫌いだったのか…?
自答できないまま視線を落とし続けるあたしに声が掛かった。
「瑠璃行くよ!」
そう言うが否や、あたしの腕を掴むと無理やり立たせた。
こんなのいつもの美沙じゃない。
あの大人しくて可愛らしい美沙は一欠けらも残っていなくて、そのかわりに新しく登場した〝甘党〟に抑え込まれてしまったらしい。
甘いものは人を変える…。
何も言わないあたしに皿を突き付けると、腕を引っ張るようにして甘ったるい匂いの中心へと連れて行く。
おあうぅ…え。
強くなる匂い。
纏わりつく匂い。
これは確実に生き地獄としか思えない。
それは三山も同じらしく、振り向くと深谷に引きずられるようにして中心に向かっていた。