ma Cheri


そんな彼がうれしくて目を閉じると、彼は優しく私の名を呼んだ。


「藍。俺、この子の名前考えてたんだ。」

「そうなの?どんな名前?」


私が彼に問うと形のいいきれいな唇からまるで歌を歌っているかのようなきれいな声で彼は言った。


「楢山紫恵里。紫に恵み、それに里っていう字でシェリ。」

「シェリ…?変わった名前ね。」


私が眉をひそめると彼は優しく微笑んだ。


フランス語でね、愛しい人っていうのはma Cheriっていうんだ。

名字の最後のまと名前のシェリを合わせてma Cheri

この子は僕にとって藍とは別の意味で大切な愛しい人になるんだからね。


そういった龍希くんの顔は今までとは違う優しい優しいお父さんの顔をしていたわ。


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