マジで恋する10秒前!?
私は裕樹に、お姫様抱っこをされ……リビングに移動した。


−−もう…頭の中には菜々子の事なんて一切なかった。


もしかしたら……私は明良じゃなく、裕樹が好きなんじゃないかって…

ただ…自分の心を楽にしたくて……

最低な女....。


「姫咲…俺を利用しても…いいから...」


「裕樹……」


私の気持ちを読み取ったかのように私に言った。


切ない…悲しい…そんな表情をしながら。


そうだね…私は裕樹を利用しようとしてた。


大切な親友を…


「俺は…姫咲が好きだから…大好きだから...姫咲に少しでも俺の事を好きになってほしいから…」


裕樹の瞳が、しっかりと私を映している。


綺麗な裕樹の瞳に汚れた私を…。


「俺に甘えて…姫咲」


「……裕樹」


必死で涙をこらえて、裕樹の胸に体を預けた。


「ありがとう…姫咲」

私に優しく微笑みながら言ってくれた。



私は…優しい裕樹を利用して……甘えてしまった。
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